DESIGN STORY

日本能率協会ビル

築53年の建物を再生し、
今後50年生かす

  • 写真提供:東京プリンスホテル 写真提供:東京プリンスホテル
  • 長寿命ビルとしての再生に
    向けた発注者様の支援

    日本能率協会ビルは、日本における「経営革新の推進機関」である日本能率協会の創立20周年の記念事業として1964年1月に芝公園の地に建設されました。外装には当時の最先端であるカーテンウォールが採用され、最新鋭の電算機センター、セミナー室、フルサービスの食堂という経営革新の3つの設備を備えた、当時の最先端オフィスビルでした。
    本計画では、築53年目を迎える建物の全面的な改修工事を行い、最先端の研修施設を備えたオフィスビルとして再生し、更に今後50年生かすということが求められました。
    株式会社竹中工務店による設計施工で本計画が進められるなかで、弊社は、コンストラクション・マネジャーとして発注者様を支援する立場に立ち、設計者や施工者の提案に対する適切な助言や選択肢の提示、そしてコストの妥当性の検証役として、本計画に関わらせて戴くこととなりました。

  • 関係者の能力を最大限
    引き出す
    マネジメント

    本計画では、安全・安心で長寿命なビルへの再生に加えて、シナジー効果の発揮を期待した日本能率協会グループ会社の集約を図るため、既存容積の中での有効床面積の最大化が求められました。更に、今後50年間に亘って利用可能な建物を実現するためには、新しいワークスタイルに適応できる空間づくりや、省エネルギー性と快適性を備えたオフィス空間を創出するため、最新設備の導入とICT設備の活用等が必要であると考えられました。
    弊社のコンストラクション・マネジャーは、発注者様の代理者として、要求条件の整理や計画予算の組み立て検証から関与し、技術的な課題やコストに関する複眼的チェックと発注者様の意思決定の支援を行いました。
    そして、ゼネコン設計者や施工者の能力を最大限引き出せるようなマネジメントを心掛け、発注者様の要求を最大限実現するべく改修計画の監理監修を行いました。

  • 構造健全性の確保に
    向けての協働

    本計画の一番のポイントである構造躯体の健全性の確保においては、過去と現在の構造設計手法相違の問題や、竣工当時やそれ以降に行われた改修工事における見えない瑕疵の顕在化等の問題がありました。
    弊社のコンストラクション・マネジャーは、それらの技術的解決策の妥当性判断だけでなく、その責任の所在や費用負担の考え方について、発注者様とゼネコンとの間に立って調整役を担い、コンプライアンスに沿った形で発注者様の利益を守ることに努めました。そしてゼネコン設計者や施工者、監理者と協働して、最適な補強及び補修方法の決定に対する助言や確実な施工品質確保のための検証を行いました。

  • 環境性能向上に向けての
    一貫した支援

    これからの時代に対応した省エネルギー性能と室内環境の快適性を向上させるため、本計画では、自然換気が可能な高性能外装と空気式放射併用空調を組み込んだ天井システムの導入を計画することとしました。このゼネコン設計者からの提案に対して弊社のコンストラクション・マネジャーは、積極的な評価を行い、計画段階での予算確保を発注者様に助言すると共に、設計段階では設計者に対して、エンジニアリングに関する意見交換や助言を行いました。そして施工段階での品質確認を含めて、その実現に関して監理監修という立場から一貫した支援を実施しました。
    この取り組みの結果、一次エネルギー消費原単位比較で、改修以前の実績平均値に対して17.4%削減という省エネルギー効果を実現。そして、発注者様を含めたプロジェクト関係者全体として第9回空気調和・衛生工学会特別賞リニューアル賞を受賞し、対外的にも高い評価を戴くこととなりました。

  • 新たな研修の場のあり方や
    ICT設備への提案

    研修室のスタイルに関しては、発注者様にて独自の運営が既に確立されていましたが、弊社のコンストラクション・マネジャーからは、オープンな研修の場、デザインシンキング、チームビルディング可能な場の紹介や共創型ICT設備等による「触発される場づくり」の提案を行いました。これに連携する形でゼネコン設計者から可動間仕切りやICT設備を備え、オープンな研修にも対応可能な研修ラウンジの提案があり、新たな研修のあり方に対応した場が実現することとなりました。また、弊社のコンストラクション・マネジャーは、グループ会社各社のグループウエアの統一化を含めたICT設備提案書を作成し、ICT設備に関する企画・計画・実行監修を行いました。
    かつて最先端オフィスビルを実現しようと最新鋭の電算機等を導入した先人の高い「志」を継いで、建物の新たな歴史を紡ぐことの一助になれたことは、弊社にとっても大変意義深いプロジェクトとなりました。

改修竣工年
2017年
所在地
東京都港区
延床面積
10,071m²
階数
地上7階 地下2階
構造
SRC

撮影:株式会社エスエス 島尾望

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