隣接する自然教育園と一体となった緑園内にある東京都庭園美術館の中で、旧朝香宮邸として知られるアールデコ様式の本館を改修、修復、復元するプロジェクトと、旧新館の老朽化に伴う建て替えプロジェクトを担当した。
本館は都指定の有形文化財であるため、法3条による建築審査会の同意を得て、建築基準法の適用除外を受け、計画を進めた。創建時の仕上げや工法の調査を行い、当初の姿に戻すように注意を払って復元を行った。庭園においても、バリアフリー化を図りながら、成長しすぎた樹木の剪定、迎賓館時代に植え足された樹木の伐採、明らかな実み生しょうの樹木の除去などを行った。
新館には、性格の異なる2つのギャラリーが設けられている。ギャラリー1は、構造体であるPC床板に照明を組み込んだ、単なるホワイトキューブとはニュアンスの異なる空間とし、ギャラリー2は、高さ9mのハイサイドライトから自然光が入るさまざまな演出が可能な多機能空間としている。
また、本館へのアプローチには、本館のルネ・ラリックのガラス扉と対話するようにディンプル状の装飾ガラススクリーンを設け、2つの時代の往来を現代のガラスアートでつないだ。
このプロジェクトの技術を知る
▷歴史的建造物の保全活用と機能の拡張
▷自然採光を導入したギャラリー