東日本大震災の巨大津波により流失した役場庁舎の復興計画。津波被害と、その後の復興に伴うかさ上げ工事により失われた同町のコミュニティ再生の拠点として「マチドマ(まちの土間)」と名付けた交流空間をエントランス部に設けた。これは、人々が気軽に訪れるふだん使いの敷居の低い庁舎を目指し、また、人々の復興活動や協働を一つの大きな空間で内包し未来のまちづくりへ繋げることを意図したものである。平屋を基本としたその空間は、自然光が溢れ、風が通り抜け、里山の木のぬくもりが感じられる居心地の良い空間として計画している。また町のブランドである南三陸杉を構造体の格子梁や天井仕上げ、コンクリートの型枠等などに利用し、これらの取組みにより日本の公共施設として初めて、森林の国際認証である「FSC全体プロジェクト 認証」を取得。次世代の「バイオマス産業都市構想」を掲げる南三陸町をアピールする意味で、復興の一助ともなっている。
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▷鋼木格子立体トラスの特徴的な空間