川崎市新本庁舎では、戦前から市民に長年親しまれた旧本庁舎の一部を復元し、広場や半屋外のアトリウムと一体的に整備をすることで、街の記憶を継承する公共空間を計画。行政議会機能となる超高層棟は、外部騒音の影響を受けない自然換気装置であり、日射抑制機能をもった「エコマルチウォール」による彫りの深いデザインとした環境配慮型庁舎である。そして同時に、人口150万人への幅広い公共サービスを継続提供する、極めて安全性の高い超高層LCB庁舎として計画した。本計画におけるLCBの特徴として、1つ目は地震および河川氾濫などの水害を想定した中間階免震の採用である。2つ目のインフラ維持計画は、都市ガス・オイル併用の非常用発電システムにより、電力途絶時でも通常勤務が永続的に可能であり、都市ガス途絶時でも1週間以上カバーできる計画とした。そのほか、7日間の上水備蓄、15日間超の汚水排水計画を実施した。これらの取り組みを、都市部における超高層建築として実現するため、無天井執務室、災害復旧時の昇降機や会議室運用計画など、最大限の配慮と準備を念頭に置き、検証法も利用しながら、より高度で緻密な先端の防災市庁舎の設計を行った。
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▷中間階免震による超高層 LCB