田園風景に新興住宅街が広がる地域の新設校である。のびやかな敷地環境を生かして各校舎が樹形のように広がる配置とした。中央の校舎棟は約6,000㎡、全長146mの木造平屋建ての「超低層校舎」である。平屋建てにより高さを低く抑える一方で、天井高さには余裕を持たせ、ゆとりのある木につつまれた内部空間とした。6,000㎡を標準的な工事費でオール木造化するために、住宅用に流通している安価な木材や金物を積極的に活用した。例えば、普通教室棟では柱を製材120x120㎜以下、梁は120x240㎜以下、長さ4m以下とし、一般的なプレカット機で行える仕口とした。また一般的にRC造となる耐火構造の接続部分も木造軸組を石膏ボードで包むだけの認定工法「メンブレン型耐火構造」を採用し、意匠的にも構造的にも6つの校舎が切れ目なく一体化している。「懐かしくも新しい」木造校舎として世代や時代を超えて愛されることを願っている。