このプロジェクトは住宅や学校が集まる地域に位置していて、近くには公園があり、そこで遊ぶ子供たちやジョギングする人々を見かけます。公園は地域の日常生活や教育、医療活動と共存し、自然に溢れた環境を作っています。そんな周りの環境と病院とをつなげることを重視し、このプロジェクトを始めました。
この新しい建物は、慢性的な病気の治療を必要とする人々や、痛みを緩和する治療を受ける人々のための場所です。設計の主題は、公園の自然環境をどのように治療の場に取り入れるかでした。具体的には、病院周囲に緑豊かな開放スペースやバルコニーを設けることで、療養環境と自然環境を結びつけることを目指しています。
さらに、公園の自然とつながる緑豊かな風景をつくることで、地域に潤いをもたらします。そして、建物のどこからでも見ることができるこの緑は、公園の生命力を感じる癒しの場を提供します。このように、内部と外部をつなぐ縁側空間は、患者だけでなく、街並みにとっても癒しの環境を作り出す大切な要素となります。
患者が近くの緑や木々を楽しめるように、ベッドからの眺めや窓台ベンチの高さなどを工夫し、スケッチやモデルルームで確認しています。また、適切な角度で日差しを遮るための庇を設けることで、室内の快適さを保つよう配慮しています。これらの工夫により、一般的な病院には見られない心地よい療養環境を作り出しています。
地元一宮市の特産品である「尾州」の繊維を使用して、柔らかな雰囲気を治療空間に取り入れ、織物の端材を再利用することでSDGsにも配慮しています。そして尾州織物のアートやサインは、患者の痛みを和らげ、癒しの空間をつくり出しています。