DESIGN STORY

職場体験を通して学んだこと

「思い」を「形」に

  • 体験プログラムの再開

    久米設計では深川第三中学校と共同で職場体験プログラムを行っています。コロナ禍の影響でここ数年は見送られていた体験プログラムでしたが、2023年2月に久しぶりに再開される事となりました。指導員は1年目社員。中学生の緊張を少しずつ解きほぐしながら課題の検討を始めました。
    今回の課題は「深川第三中学校・越中島小学校建替計画」。身近な学校をテーマにする事で、中学生が自ら考え様々な思いを形にできるのではないかと考えました。
    いつもとは違うオフィス環境で、大人と一緒に過ごす3日間の始まりです。

  • 中学生の抱えるリアルな課題

    1日目。まずは久米設計を知ってもらうところからのスタートです。オフィスツアーで実際に執務スペースを歩き、設計事務所の雰囲気を実感してもらいました。まだまだ緊張はほぐれていませんが、歩いている中学生からはオフィスの中で何が行われているのか知りたい気持ちが溢れていました。オフィスツアーを終え、次はプログラムの説明です。具体的にどんなことをしていくのか想像できていない様子の中学生。指導員が優しくリードしていきます。
    今日の作業に必要な道具はポストイットとサインペン。学校の良いところ、悪いところをリアルに利用している中学生の視点で抱えている課題を沢山書き出してくれました。中学生があげてくれたのは「校舎やグラウンドに日差しが入らない」「多くの緑や息抜きできるスペースが欲しい」など。この課題をどう解決していくか、明日からは「思い」を「形に」しながら表現していきます。

  • 個性を活かす

  • 個性を活かす

    2日目。沢山書き出した課題の中からそれぞれが1番解決したい内容を選択し、模型やスケッチで表現していきます。設計事務所では、日常的にスタイロフォームやボードなどを使ってスタディ模型を作成しています。中学生にその作業を体験してもらいます。
    1日目で書き出した校舎・教室・体育館・プール・グラウンドにある課題をどのような形で表現し解決していきたいか、指導員からのアドバイスを元に進めていきました。ソロワークとなったことで、それぞれの個性が徐々に表出。中学生より少しだけ経験を重ねている指導員とピュアな中学生には感覚の微妙なズレがあり、自分の考えを指導員に伝える大変さを体験していました。指導員も表現したいことを引き出せるように、個性にあった進め方を考え、よりよい表現方法であるか、本人に確認しながら進めていきました。
    最終日にはプレゼン時間を設定し、自分たちの考えた建替え計画を発表していきます。

  • 諦めない真っすぐな思い

    3日目。遂に建替え計画をプレゼンする日を迎えました。既に完成が見えている学生もいれば、形にできていない学生もいる状況で無事にプレゼン時間に間に合うか、残りの時間をどのように活用するか指導員も心配しながら見守っていました。リアル会場・web参加の社員が徐々につめ掛け中学生のボルテージもあがっていきました。発表順は中学生らしく”ジャンケン“で決め、いよいよプレゼンテーション。「しっかりと日差しの入る階段状の校舎」「応援エリアを広げエレベーターを設置した体育館」「1年中利用できる室内プール」「明るい芝生のグラウンド」「換気抜群、3面黒板の緑を望める教室」全員が無事にプレゼンを完走しました。発表直前まで諦めずに手を動かしている姿、自分の考えを表現する際にアドバイスに納得できず自分の真を曲げずに進めた姿。プレゼンから参加していた設計者が驚くほど、ひとり1人の思いが詰まったプレゼンとなりました。

  • 中学生からの学び

    私たちが普段取り組んでいる学校建築や公共建築。実際に使っている現役中学生と3日間という長い時間を一緒に過ごし、日常感じているリアルな感覚を共有してもらった我々の体験。今後設計する上でプロジェクトに反映できる内容もありました。設計者は建築を利用するユーザーと大人の視点で対話を重ね、お互いの考えを協議し配慮しながら建築に向き合っていきます。中学生との対話では、自分たちの思いを貫くという自立した強さを感じる瞬間があり、初めて建築に取り組んだ時に受けたピュアな気持ちを思い出すことができました。
    3日間で中学生に経験を重ねてもらいたいという思いで、こちらから伝えていくことばかりを考えていましたが、それぞれの考えを尊重することや建築に向き合ってワクワクする気持ちの大切さを参加者全員が学び、貴重な職場体験の時間となりました。

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