DESIGN STORY

マリンメッセ福岡 B館

つなぎながら創り出す
新たな賑わい空間

  • 魅力的なウォーターフロントを
    目指して

    福岡(博多)は古来より港を中心とした港湾都市として発展してきた。一方で現状の福岡都市部において海の近さを実感する環境は少ない。本計画は福岡を代表する海沿いのイベント会場であるマリンメッセ福岡(A館)に対しB館を増設する計画である。両施設はエントランスを向かい合わせ一体的に活用することで様々な国際的なイベントが開催される。新旧施設の間に創り出される外部空間を開放的な膜屋根で包みこむことで、単なる往来の場ではなく「マリンメッセテラス」と呼ばれる外部のイベント空間としている。

賑わいを伝える
ガラスボックス

大空間が主体となり全体的に閉じてしまいがちなイベントホールの共用部を最大限開くことで、周辺地域に波及する賑わいを創りだす。マリンメッセテラスに面するホワイエを全面ガラスファサードを持った吹抜空間とすることで、内部アクティビティがウォーターフロントエリアに波及する。ホワイエは外装受けを兼用した極細鉄骨柱を採用。地震力を負担させないため上下ピン接合支持とすることで水平ロッドを設けずに見付100mmの軽快なフレームによりガラスと鉄骨よるシンプルでありながら経済的な架構を実現した。

  • 鉛直応力に呼応した軽量で
    変化のある膜構造

    マリンメッセテラスの膜屋根は構造設計者による社内コンペを開催した。採用された形態は屋根下の人の混雑に対応するため柱を最小化する樹形柱と、海辺の景観と調和するように波打った屋根構造となった。膜屋根は7mの大梁間を押えケーブルとすることで大きな膜面が現れるようにすると同時に大梁に曲率をもたらすことで押えケーブルを吹上荷重に効かせ膜形状を立体的な柔らかい曲面としている。大梁はビルト BOX とし鉛直方向の応力に応じて梁の下面の形状を滑らかに変化させることで鉄骨重量を最小化するとともに変化のある構造デザインとした。

  • シンプルで機能的な展示空間

    屋根架構は軽量で経済的でありながら高い荷重支持能力と剛性・耐震性能に優れたワーレントラスを採用。下弦材レベルにトラスと直交した補剛材を配置することで最大200t(同時100t)の吊荷重を許容できる格子梁状の安定した架構としている。全体としてシンプルな架構デザインになるよう配慮すると同時にキャットウォークを自由に配置することで使いやすい空間としている。東西の外装が屋根と一体になって包み込み、展示室壁面との間に空気層をつくりだすことで気積の大きい展示室の空調負荷を軽減している。2F 会議室の壁面は、上部半分を穴あきとし吸音性能を持たせると共に、凹凸によりフラッターエコーを抑制し室内の音響を整える効果も持たせている。

  • 新たな賑わいと日常的な
    親水空間へ

    民間資金を活用したPFI事業という条件の下で、設計・施工が計画当初から一丸となって取り組むことにより、限られた予算の中で最大限魅力的なものをつくりだす方法を模索し続けた。2023年には国際的なスポーツ大会の舞台として世界中から様々な人が来訪し、福岡と世界をつなぐ拠点となった。今回の計画が内外で連携した賑わいをつくりだし、イベントに関係がない人でも日常的に賑わいを感じることにより、魅力的な親水空間につながれば良いと考えている。

竣工年
2021年
所在地
福岡市博多区
延床面積
11,430m²
階数
地上2階
構造
S

マリンメッセ福岡 B館

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