DESIGN STORY

旧本多邸改修計画

地域にひらかれた
文化財をめざして

  • 創設者の精神を継ぐ

    神奈川県の逗子駅にほど近い住宅地の中に佇む「旧本多邸」は、1939年に建てられた邸宅です。数年前に、久米設計創設者の久米権九郎により設計された建物であることが判明し、持ち主より譲り受け、保存活用することになりました。
    久米権九郎はドイツで建築を学び、木造による耐震化を目指して「久米式耐震木骨構造」を考案しました。その構造形式を用いて設計されたのが、軽井沢万平ホテルと日光金谷ホテルですが、本多邸が国内で現存する3件目の建物であることが明らかになり、2022年には国の有形登録文化財に指定されました。改修する上でも、久米式耐震木骨構造を活かした構造補強法を新たに考案し、耐震化を図っています。

  • 文化や技術を継承する

    建て主である本多正作氏は、アメリカやヨーロッパへの周遊経験があり、その趣味嗜好や文化的背景が、建物内に残された、天井周りのモールディングや階段手摺の装飾、玄関や浴室の床面タイル、窓のステンドグラスなどの要素から感じとることができます。現在では再現の難しい意匠や職人による技術が随所に残されており、その保存・再生を試みています。

  • 地域活動の新たな拠点へ

    誰も住まわれなくなって30年余りが経ち、風雨にさらされ緑に埋もれ、忘れかけられていた建物が、再び息を吹き返し始めました。改修工事を進めながら、地域の方々を招いた見学会を開いたり、逗子や鎌倉をフィールドにまちづくりに関わる方々と協同を始めたり、徐々に地域との関わりを拡げています。2024年の完成後は、社員のためのサテライト・ワーケーションの場として使用しながら、地域のこどもから大人まで利用できる、地域活動の新たな拠点として建物をひらくことを目指しています。

竣工年
1939年
所在地
神奈川県逗子市
延床面積
393.08㎡
階数
地上2階
構造
木造

お問い合わせ

弊社への依頼、相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。